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バリ島 旅行記 2005年11月 バティックを求めて

このページは「バティックを求めて」と題して、2005年11月のバリ島でのバティック買い付けについて顛末記をお届けしたいと思います。4週間ほどの旅行のほとんどをこれに費やしてしまいました。(とても疲れました)自分のための日記としても残しておきたいし、またこれからバリ島へ同様の買い付けに行かれようと考えられている方に少しでも参考になればと思い書くことにします。(参考にはならないかもしれませんが)
写真などを撮っている余力もなく(結果的にってことですが)文字ばかりのページになると思いますが、興味のある方は読んでいただければ幸いです。


プロローグ

旅行記などをお読みいただくとわかっていただけると思いますが、渡バリ20回ほど、友人や知り合い(日本人、インドネシアン)も少しはバリにいますし、ビジネス(と呼べるほど大げさなものではありませんが)をアルバイト的に少しやっている私たち夫婦が、また今回思いつきのように考えたのが「バティックでバッグや服を作ってネット通販で売ろう」というものでした。バティックやイカットなどを単純に買い付けて持ち帰ると言うのではなく、縫製して加工品として日本に持って帰るということです。
多少なりの苦労も覚悟していましたが(覚悟以上の苦労でした)とりあえずはサンプルを作ってみようといった割と簡単な考えで出かけた訳です。(安易な気持ちが苦労を呼ぶ?)


イドゥル・フィトゥリ

イドゥル・フィトゥリとはイスラムの断食期間明けの大祭のことで2005年は11月03~04日。私が到着したのは11月02日でバリニーズにはあまり関係のない祭日であるけれど休みのお店が多いことも知っていたし、休みが取れるのがこの期間だったし、あまり深く考えずにこの日程に決めたわけですが
教訓1:イドゥル・フィトゥリに買い付けに行ってはいけない
やはりオーナーとかマネージャーはジャワ出身の人が多いので、お店は開いていてもこういった責任者の人達が(他のジャワ人同様に)イドゥル・フィトゥリ後に長期休暇をとることが多いのです。できるだけこの時期(イドゥル・フィトゥリ後の1ヶ月くらい)は避けた方がいいですね。特に困ったことはありませんでしたが「担当のジャワ人が休みだから」といった理由で納期を3日ほど延ばされたものもありました。値引き交渉などはオーナーや責任者と話した方が早いし、特別な理由がない限りはこの時期を避けた方が良いと思います。


ネームタグ

まずは納期に時間がかかるであろうネームタグの発注へ
ネーミングもデザインも決めてパソコンで印刷して持っていったので発注はスムーズに。でも思っていたほど料金は安くなかったし、結果的にはクオリティもよくないので日本で作って持っていったほうがいいかも?
特に刺繍のタグは4週間ほどかかるそうなので(滞在が長い場合は別として)日本から持ち込むことですね。
今回はプリントで発注、納期は2週間(納期を3日ほど延ばされたのはコレ)
ちなみにネーミングはうちで飼ってる猫の名前。安易と言うか安直と言うか...でも思い入れはありますけどね。


生地探し

とりあえずスラウェシに向かう。(まあ生地と言えばここだから)
建ち並ぶ端の店から片っ端に探していったわけだけど、十数軒探しても目的のデザインが見つからない。
今回探しているのはバリっぽいデザインではなく、シンプルで細かいデザインのもの。ネットで見つけた写真を印刷して店員に見せながら探すが見つからない。三十軒ほどで初日は諦める。
曇っていれば気温もそれほど上がらないけれど、太陽が照りつけるとやはりそこは熱帯雨林。日本とは違って冷房完備の店なんて皆無に近いから無理は禁物。(やってみるとわかると思うけどダルくなって半日動くなんて無理、せいぜい3時間くらいが限度)朝10時頃の早い時間から昼過ぎまでにすること。
目まいがしそうになったのでこの日は切り上げ、ネットカフェで少し調べることにする。
結果的には反対側から探したら初日で見つかったかもしれない。(このあたりのことは運だから仕方がないけれど)探しているデザインはチルボンやソロといったジャワ島の産地であることがわかり翌日またスラウェシに向かう。
まだ探していない店でプリントしたデザインを見せながら「チルボンのバティックはありますか?」と尋ねて歩く。5軒ほどで(やっと)見つかる。ヤッター
教訓2:デザインは産地名などで下調べをしておく
産地名がわかっているからといって必ずしも同じデザインであることはないけれどかなり近いものが見つかります。バリ島内でもいくつもの産地やデザインの名称があるけれど、これは広く認識されているものではない。(どこかの大学教授が調べて勝手に名前をつけたんじゃないか?といった程度)「チルボン産の生地はコレ」と出されたものを見てお気に入りの物を見つけるといった感じ。
逆に言うと産地も確定できない「自分のお気に入りのデザインを探す」なら数日はかかることを覚悟して行かないといけない。初日に見つかる可能性はゼロじゃないけれど、山のように積まれた反物を一つ一つ広げてチェックしていくのは重労働です。(私は数時間コレをやっただけで何度諦めようと思ったことか)
教訓3:店員が無いと言っても自分の目で確かめること

インドネシアンの店員は大きく2タイプに分かれると思う。一つは「ありもしないのにあると言ってとりあえず客を呼び込むタイプ」これにも苦労させられたけど(出されたものは見当違いでガックリくる)もう一つは最悪で「あるのに面倒だから無いと言ってしまうタイプ」もう少しで見逃すところだった。「うちには置いていない」と言われたので次の店に行こうとしたけど、店の奥の方に良さそうなデザインのものがチラッと見えたから店主らしき人に尋ねると「これはチルボンだ」と言う。無いと言った店員を睨みつけるがそ知らぬ顔で別の客の相手をしている。
また(最初は悪い冗談かと思っていた)ネットで見つけた生地の写真を見せて「このデザイン」と言っているのにまったく違うデザインを出してくる。「こんな赤や青の色を」と言っても見当違いの色のものを引っ張り出してくる。別に悪口を言うつもりは無いけれど、どうも色やデザインに対して感覚が違うように思う。嘘でしょ?と思われた方は一度写真なりでデザインを見せて買ってきてもらうように頼んでみるといい。これも経験した人でないとわかってもらえないと思う。
あとは値段交渉だけど、できるだけ店を回って良さそうな生地が置いてある店のネームカード(お店の名刺ね)を集めておいて、最終的に決めたお店で交渉に入る。ビジネスであることを話してできるだけ大量に買えば話がまとまるのも早い。けれど、これはいいなと思ったバティックはやはり高い。
教訓4:人の言うことは信じない 自分の目で見たことだけが事実
予算オーバーだったので安いバティックはないものかと知り合いに片っ端から電話して尋ねることにする。「チルボン・バティックを安く売っているところ知らない?」しかし実際にはこれで3日ほど棒に振ることになる。
知っていると言われてついて行った先は観光客しか行かないボッタクリな店だったり、似ても似つかないデザインの生地しかなかったり(店主も違うと言うのに本人はコレがチルボンだと言い張る)どうも本人に悪気はなさそうで(勘違いと言うか思い込みと言うか)他のことでは信頼してる人なんだけどバティックに関してはダメといったこともあった。
ある知り合いは「ジャワ島に行かないとチルボン・バティックはない」と言い切った。いやスラウェシにもあったよと説明してもまったく譲らない。
まあ悪い意味ではなく、実際に行って自分で確かめないとわからないという例えです。無駄かもしれないと思っても(ほとんどが実際に無駄なことになるけれど)行ってみないと話は始まらないし見つからない。


縫製所

価格は少し高いけれど生地のめどはついたので次は縫製所へ。キレイに縫ってくれるかをチェックするためにもサンプル作りを依頼する。まずはバッグから...型紙も用意して行ったしサンプルオーダーにそれほど時間もかからなかった。2日ほどでできるというので待つことにする。
今回日本から持っていったのは型紙とデニム地。しっかりとしたバッグを作るために厚手の生地を持っていく。(これは事前の下調べでバリにはデニムがないかもしれないからと聞いていたので)実際に探したわけではないので確かではないけれど、白の帆布やジーンズのような紺のデニムはありそうだけどピンクやグリーンなど色付きの厚手の生地はないらしい。(バティックを探しながら聞いた話なので真偽のほどはわからない、でも皆が口を揃えてこの生地は無いと言っていた)
バッグの口を止める磁石も縫製所で用意してくれることがわかったし(無いと言われたらボタンと紐で止める形にしようと思っていた)まあ、とりあえずは順調に進んでいくように思えた。(その時思えただけだった)


革探し

写真を撮っておけば良かったけれど(そんな余裕もなかったので)バッグの持ち手を革にしようと考えていたので革屋さんを訪ね歩く。またこれも独特の匂いのする店内に半端な革が丸めて積まれている所で好みのものを掻き分けるように探す。薄暗い店内なので、それらしき色のものを見つけては店外に出て陽の下で色を確認してまた戻るを何度も繰り返す。
どうも靴などの革を買いに来る人が多いみたい、黒っぽい革ばかりがどんどんと売れていく。色も豊富だけれど、どちらかと言えば安っぽいビニールのソファの切れっ端のようなものが多く「これって本革かな?」と首を捻りたくなるようなものがほとんど。
できればヴィトンのような持ち手を希望していたけれど(ハハハ)そんなのは望むべくもなく。できるだけシンプルな色合いのもを選ぶ。(派手な色だと合皮にしか見えない)結果的にはなかなか味のあるバッグになりましたが材料を揃えている間はとてもドキドキしていました。
この革も細く裁断する段階でヘニョヘニョに切りやがる(失礼)ので一悶着あったわけだけど、まあそれも味わい深いと言えなくもないのでそれについては詳しく書かないことにします。


縫製所 その2

出来上がったサンプルを見るとミシンも真っ直ぐにかけてくれているしキレイな仕上がり。
実はこの縫製所は足が少し不自由な女主人が経営するお店でコツコツと仕上げてくれるお薦めのお店だったわけです。(もう少しロットが多ければもっと仕上がりの良い縫製所を知っているとも聞いていた)満足してバッグの発注へ。
実際のところ革はヘニョヘニョに切られて取り付けも指定と違っていた。一部刺繍も頼んでいたけれどこれもちょっとおかしかった。 「まあ少し注意して指定すれば大丈夫だろう」と安易に考えたのが大間違い?
教訓5:1から10説明してもダメ 1から100まで説明すること
コレに関して詳しく書いていると原稿用紙何十枚でも足りないので要約だけを...
一番頭にきた(というか呆れた)のは5タイプのデザイン(大きさも違う)でバッグを依頼しましたが「どのように裁断すれば効率的か」なんてことは考えないようです。注文された1番目から順番に布地の端から裁断していって「あれ?布地が足りないよ」ってことになりました。(どうも縫代もこちらで考えていたよりも大きく取っているようだし)
日本人的常識で考えると「渡された布地だと指定された枚数が取れない」と裁断前に計算してもいいだろうと思うけど、実際には何の連絡もなく確認に行くと「コレだけしか取れなかったよ」と言われる始末。
バティックの方も(これは指定しなかったこちらが悪いのかもしれない)デザインパターンが丁度バッグの中心になるように裁断されてハギレが山のようにできている。
コレは今でもハッキリと覚えているけれどしばらく放心状態になりました。
ある程度落ち着いてきて知り合いに尋ねると「誰でも経験する洗礼のようなもの」だそうです ハハハ(今でこそ笑い話だけどね)「彼らもプロなんだからこれくらいは」とか「これは常識だから」なんてことは一切無視して1から100まで説明することが大切です。自分も紙に書いて説明して相手もちゃんと書いているか確認して、姑が嫁を苛める様に(逆でもいいけど)徹底的にやることが失敗しないコツですね。

ここですべて放り出して...なんてことも考えたけれど(あと10歳若かったら暴れていたかも?)どうして怒っているのか説明して理解してもらって(裁断してしまってるので後は縫ってもらうしかないし)残りの作業をできるだけ丁寧にやってもらうことで我慢することにしました。
まあ今では「きちんと説明しなかったこちらも悪い」と思えるようになりましたが、この件でバッグ以外に予定していたこともやる気を失ってしまい(バティックが余っていることや)バティックのハギレがたくさんあったので、それを利用してクッションカバーを作ってもらうことで精一杯でした。(写真はバティックを贅沢に使ったカバー、ハギレを格子状に使ったものもあります)
結果的には、バティックを贅沢に使ったバッグも(予算オーバーしましたが)なかなか好評な出来映え、縫製も丁寧にやってくれたしね。今回は良い勉強になった...ということにします。次回からは(もし次があればと言うことだけど)もっと効率的にできることでしょう。(希望的観測?)


バティックについて

ここまで我慢して?読んで下さった方はバティック(ろうけつ染め)について興味がありよくご存知の方だと思いますので、トゥリスだのチャップだのといった説明は省略させていただきます。
今回のバッグ作りに関しては、自己満足かもしれませんがそれなりのこだわりを持っています。(素材にはできるだけ良い物を選ぼうということなのですが)トゥリスとチャップが見分けられるほど目利きではありませんが、並べて見比べれば良い物は一目でわかってしまうし、変な素材は使いたくないという想いで作ったつもりです。しかし良い素材はどうしても高価になるのでプリント・バティックのバッグも作ったしトゥリスやチャップも混ぜてバティックを選んでバッグを作りました。
後日談となりますが、帰国後に家族や知り合いに出来上がったバッグなどを見せたところ(そんなものさと言われればそうなのかもしれませんが)バティックの価格と好みはどうも違うようです。「この生地はこの生地の10倍くらい価値がある」と並べて説明しても、そんなことは大して興味がない人もいます。思い入れなどと売れ行きとは違うのかもしれませんね。
そのあたりのことを偉そうに語るなら、やはりジャワの生産地に足を運んで買い付けに行かないといけないのかもしれません。ジャワに行こうと前々から誘われているので行けないこともないのですが、今はまだその余裕とパワーがありません。そのうちにその気になったら行ってみたいと考えています。(生半可な気持ちではダメだってことが今回のことで思い知らされましたから)

今回のことは知り合いに(バッグは作ったことがなくてもバリで服などのお店を持っていた方に)お願いして同行しアドバイスをいただきながら行動しました。最短距離を歩いていくつもりでも回り道はあるものです。今回のことを知り合いなしでやったとしたら、もちろん途中で挫折していただろうと思います。
面白おかしく書きましたが、目まいがしそうな(とても書けないような)苦労もありました。しかし笑って読んでいただければ幸いです。
苦労もありましたが今となっては良い思い出だし、気に入った方に買っていただければと思ってます。


追記

読み返してみて、そう言えば...と思い出したので追記です。
(今回初めて知ったこと)エアー会社の重量オーバーの追徴金ですが日本発とバリ発で単価が違います。今まで出発時にオーバーしたことがなかったので気付かなかったのですが、日本発は3倍くらい高いのでご注意を
また海外で買い付けされる方にとってはエアー会社の選択が重要となります。一番は「重量オーバーの許容範囲」ですね。バリへの直行便はJALとガルーダしかありませんが、どちらも(特にガルーダ)重量オーバーには神経質です。許容範囲が大きいという理由でグアム経由のコンチネンタルで行かれる方も多いようです。
教訓6:チェックインカウンターでは徹底的にゴネること
法律じゃないですからね。チェックインカウンターの係員の判断でどうにでもなるレベルの話だし(だいたいトータルの重量は変わらないのにどうしてそこまで金を取りたがる)徹底的にゴネましょう。
今回もガルーダでスーツケースに25キロ詰めて残りは機内持ち込みにしようと考えていましたが、チェックイン係員が「機内持ち込みダメ、全部預けて」と言いやがる(失礼)全部預けると20キロはオーバーするので「これは壊れ物だから」(バッグとかだから壊れないんだけどね)とゴネてオーバーしないですみました。
私の知り合い(バリニーズと結婚、子供あり)がバリから日本へ帰る際に30キロ以上オーバーしていたそうですが「金がない」と言い張ったそうです。結局(赤ん坊もいたからだろうけど)全部預けて追加なしですんだそうです。
これは特殊ケースだろうけど、ゴネ得を狙うか根負けするかはあなた次第ですね。

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