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Island Yossy ブログ バリ島のことや日々の覚え書き - 2009年6月18日

バリ島 リッツカールトンの真実2

バリ島のリッツ カールトンは どうしてアヤナという名前のホテルに変わったのか?
先日書いたブログで知り合い数人から質問のメールが届いた
文章も稚拙だったし わかりにくい内容なのでちょっとまとめてみました


まずはリッツカールトンの歴史を抜粋
1898年 ザ・パリ・リッツ開業
オーナーはスイス生まれのセザール・リッツ
1983年 ザ・リッツ・カールトン ホテル カンパニー設立
ウィリアム・B・ジョンソンがザ・リッツ・カールトン ボストンの経営権およびザ・リッツ・カールトンの商標使用権を取得
1995年 ザ・リッツ・カールトン ホテル カンパニー L.L.C. を設立
マリオット インターナショナル Inc. がリッツの株式の 49% を取得
1998年 サイモン・クーパー 社長兼最高経営責任者に就任
ホルスト・シュルツィは経営から退く
2001年 マリオットがリッツの株式を完全取得


リッツのミスティーク (秘密?) については広く知られていることなので
特に書きませんが 興味のある人は調べてください
リッツの従業員はクレド (理念、信条) と呼ばれるサービスの基本精神が書かれたカードを携帯している、従業員自らの判断で一日2,000ドルまでの決裁権が認められている...なども有名ですね
ちなみに ザ・リッツ・カールトン大阪の開業は1997年5月
ザ・リッツ・カールトン東京は2009年3月の開業


ここからはバリ島の話
1996年 ザ・リッツ・カールトン・バリ開業
オーナーはインドネシア人のスリニアワン氏 マネージメントはリッツ
2006年 ブルガリ・バリ開業
ブルガリとマリオットとのジョイント・ベンチャー
2008年1月 アメリカ合衆国連邦裁判所の判決
マリオットとリッツの敗訴
2009年4月 アヤナ・リゾート&スパ開業
マネージメントはウエストベース・ホテル・グループ


バリ島のリッツはアヤナという名前に変わったが
オーナーは変わっておらずインドネシア人のスリニアワン氏
バリ島にホテルを作ろうと数あるホテルの中からリッツを選択
パートナーとなるリッツとマネジメント契約を結んだのは1991年のこと
この時点ではマリオットとリッツの関係はまだなく
リッツの社長はホルスト・シュルツィというホテリアの第一人者
リッツのクレドやミスティークを作り上げた人物だった


その後 マリオット・グループがリッツの経営権を取得
ホルスト・シュルツィ氏はリッツから離れ独自のホテル・グループを設立
2008年にブルガリ・バリが開業となる
スリニアワン氏とリッツとの契約の中で
バリ島のリッツ開業後10年間はバリ島内にリッツが関わるホテルを作らない
...という内容があったのでスリニアワン氏はリッツに警告文を送るが
なんら契約違反はしていない これに不満なら裁判を起こしてください
...とのリッツからの回答があった


そういういきさつからアメリカでの裁判が始まった

バリ島リッツの顧客名簿を利用しブルガリ・バリの挨拶状を送っていたことなどから
リッツの違反行為は極めて重く悪質との判断が下されたのだろう
スリニアワン氏が要求していた500万ドルに対し
倍額の1,000万ドルの懲罰的損害賠償金+賠償金382,304ドル+弁護士費用
という判決が下されることになった
巨大ホテルグループの敗訴というニュースはアメリカでも大きく報じられたが
インドネシアでも大きく扱われている
これまでインドネシアの企業が世界の名だたる企業との裁判に勝訴したこともなかったし
これはインドネシア企業が世界的な企業と肩を並べられた瞬間であるというものだ


リッツカールトンの真実...というのは
日本の某雑誌での特集のタイトルになるはずだったもの
候補の一つであったのだろうが採用はされなかったようだ
人目を引く面白そうなタイトルだったので そのまま使わせてもらった


この裁判によってリッツのブランドが地に落ちるとか そんなことはないでしょう
おそらくはリッツの( 一部の人間の )判断の甘さが原因であって
世界中に展開しているホテルに何らかの影響があるとも思えません
またマリオットの戦略にも何の問題もないでしょう
事実 リッツはマリオットの傘下に入り売り上げも伸ばしています
ただブランド力というものは 計り知れない影響力がありますが
ブランドが地に落ちるのは一瞬で起こりえます (三菱自動車など)
こういった裁判の話なども積み重なってくると影響が出てくるでしょう


アヤナに新しくできる海に浮かぶバーについて
ザ・ロック・バー (という名前になるかもしれない)
写真が小さくて申し訳ないけれど掲載しておきます


バリ島 リッツカールトンの真実2

写真下の白く見えるのは 斜めに下りていくゴンドラの屋根
中央 桟橋の奥に見える岩がゴロゴロしているあたりが スパ・オン・ザ・ロック
この写真の位置から奥に斜めにゴンドラ降りていくとオーシャンビーチ・プールがあり
この写真の真下あたりにザ・ロック・バーがあります
工事も順調で7月にはオープン予定との事でした


1,000万ドルの賠償金というと個人レベルではものすごい金額ですね
しかしアヤナ・リゾートは368室の客室と1,000人の従業員を抱える巨大ホテルです
1ヶ月の売り上げが数億円といったところでしょうか
リッツというブランド名を捨てるということは当然客足にも影響してくるでしょう
もし売り上げが落ちたら その穴埋めに1,000万ドルが何年もつのでしょう?
パンピーな私に想像もつきませんが 一大決心が必要ですね


アヤナというのはサンスクリット語で
隠れ家、避難場所、安息の地...といった意味があるそうです
一度信頼関係の無くなった相手とパートナーにはなれないとリッツの名を捨て
リッツの創業社長でもあったホルスト・シュルツィ氏ともう一度手を組み
ホルスト・シュルツィ氏の持つブランドも使わずに
まったく新しいアヤナという名前を起こした
アヤナという名が これからブランドとなっていくのか
数年後に 「 アヤナはここから始まった 」 と呼ばれるようになるのか
そのスタートが今現在なのです
アヤナのスタートを目撃するために...
アヤナのサービスがどのようなものなのかを確認するために...
そういったこともホテル選びの要素の一つにすると面白いのではないでしょうか

バリ島 リッツカールトンの真実2

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